生クリームを泡立てたもののなんだか緩い。翌日になるといつも水分が出てダレてしまうという経験はありませんか?
今回はなぜそういったことが起こるのかや対策方法、復活法があるのかについて詳しくご紹介します。
スポンサーリンク
考えられる原因
①脂肪分
まず最初に考えられるのは脂肪分です。
売られている物の中には料理用からホイップ用まで様々な種類があります。
商品の特性にもよりますが、一般的にホイップするには30%以上、しっかりデコレーションするには40%以上必要がおすすめです。
もし低い脂肪分だと固まり方も弱いため、柔らかい仕上がりとなり、それ以上ホイップしても固くはならず分離してしまいます。
使い慣れていない方だと、ケーキ屋さんのようなしっかりとしたホイップクリームをイメージしたのに買ってきたのは低い脂肪分だった場合はゆるいと感じるかもしれません。
②ホイップ条件
ホイップする条件によってもゆるく仕上がったり、ダレてしまったりという事があり得ます。
条件については詳しく③から見ていきます。
③温度条件
例えば、しっかりと冷やしたクリームを使わなかったり、冷やしながらホイップしなかった場合は、きれいに空気と水分を抱き込みながらホイップ出来ず、離水やダレを引き起こしやすくなります。
また、ホイップは空気を抱き込む作業なので、室温が高いとその温度の空気を取り込むためクリームの温度が上がり溶けやすくなってしまうのです。
ホイップの温度に関することはこちらの記事でも解説しています。
④ホイップ速度条件
他の条件としてダレや離水を引き起こしてしまう要因としては、ホイップする速度があります。
これは早すぎても遅すぎてもデメリットが生じます。
まず、ホイップに時間がかかるからと言ってハンドミキサーの高速でやってしまうと、空気や水分を抱き込む間もなく脂肪同士の架橋(脂肪球がくっついて立体構造になること)が出来上がってしまいます。
こうなるときれいに空気と水分がホイップクリームの中に分散していないので、時間が経つとダレたり離水したりします。
逆に何かをしながらホイップしていたり、ホイップ途中で中断したりするとせっかく出来上がり始めた脂肪の立体構造が崩れたり、温度が上昇することによって緩くなる場合も。
ホイップするときはできるだけ手早く、ただ、ハンドミキサーの場合は中速くらいで行うことをおすすめします。
⑤分量
ホイップをする際の量にも少し注意が必要です。
ボウルに対して多い量をホイップ、またはボウルに対して少なすぎるホイップでは他の条件同様にきれいにホイップができにくく、時間が経つと離水したりダレを引き起こします。
200mlを泡立てるときにおすすめなのは底がある程度深く、ボウルの直径が23~25cm程度のものだと飛び散りにくくて特におすすめです。
ステンレス製だと黒い粒が発生することがあるのでできるだけプラスチック製やガラス製のものを使用するようにしましょう。
⑤加えるもの
最後に挙げられる要因として、砂糖などホイップをするときに加えるものによって引き起こされることがあります。
というのも、ホイップは乳脂肪がつながることでホイップの形を保っています。
脂肪分が低いとつながりも弱いため、柔らかい仕上がりになるのです。
砂糖などを多く入れてしまう事で脂肪分以外の割合が増え、相対的に脂肪分が減ってしまい、ゆるくなってしまうのです。
特に注意が必要なのは甘さが出にくい種類の砂糖(オリゴ糖など)を入れたりする場合は量を入れすぎないようにしてください。
一般的に加える砂糖の量としてはクリームに対して7%~10%程度までと言われています。
200mlの場合は14g~20g程度までということですね。※あくまでホイップができやすい目安量です。
ちなみに上限は10%程度と言われていますが、全く入れなくても問題なくホイップはできますのでご安心ください。
復活法や予防法
ここからは生クリームが緩い時、ダレている時の復活法や予防法としてご紹介します。
レモン汁を使う方法
酸度が高い食品を混ぜると早くきゅっと固まるようになります。
比較的早くホイップが終わり、少しさっぱりとしたクリームになります。
もちろんダレも軽減されます。
逆にデメリットとして、分量によっては酸味が少し出てしまう事があること、少しふわっと感が減る(空気の含有率が下がる)ことがあげられます。
ケーキによっては酸味が邪魔してしまう事もあるので注意してください。
レモン汁を加える量についてはこちらの記事で詳しく検証したので参考にしてください。
ダレを復活させる場合は数滴加えて混ぜるなどして様子を見て下さい。
少し硬くなったら完成でそれ以上ホイップしてしまうとボソボソに分離してしまうので注意してください。
ゼラチンを使う方法
こちらはどちらかというとダレない為の予防法に近いかもしれません。
ダレにくい生クリームは安定剤や乳化剤が入っている商品もあります。
これは純乳脂肪ですが、上記のような食品添加物で安定性を高めて離水やダレを防いでいます。
ゼラチンは天然の安定剤としても用いられており、ケーキ屋さんのホイップにも入っていることがある手法です。
ゼラチンの以外でも、似たような代用としてマシュマロを使う方法もあります。どちらもメリットやデメリットがあるのでやり方を含めご紹介します。
クリーム(脂肪分40%以上推奨) 200ml
砂糖 15g
ゼラチン1g
水 大さじ1
①耐熱容器に水を大さじ1とゼラチンを入れ、レンジで数十秒加熱し、溶かす。
(この時にぶくぶく沸騰させないように注意!溶けたかな?くらいで取り出して混ぜるときれいに溶けます。溶かしたものは人肌くらいまで冷ましておいてください)
②クリームをホイップし、7分立て(目的とする硬さのちょい手前くらい)にする。
③人肌に冷ましたゼラチンをクリームに入れながら混ぜる
※入れながら攪拌しないと冷たいクリームでゼラチンが固まりダマになってしまいます。
この方法は有名ですが、手早くやらないとダマになりやすい点がなかなか難しいです。
また、電動ミキサーなどゼラチンを加えながら手早く攪拌する手段がないと少し難しいかもしれません。
難しいのはちょっとと思う方はマシュマロでも同様にダレにくくすることが出来ます。
マシュマロを使う方法
クリーム(脂肪分40%以上推奨) 200ml
砂糖 10g
マシュマロ 10g
牛乳 大さじ1
耐熱容器にマシュマロ10gと牛乳大さじ1をいれ、レンジで数十秒加熱し、溶かす。
(この時にぶくぶく沸騰させないように注意!溶けたかな?くらいで取り出して混ぜるときれいに溶けます。溶かしたものは人肌くらいまで冷ましておいてください)
②クリームをホイップし、7分立て(目的とする硬さのちょい手前くらい)にする。
③ホイップしたクリームに1をいれ、仕上がりの固さまでホイップする。
マシュマロに含まれるゼラチンが同様の働きをしてくれるため、離水やダレを防ぐことが出来ます。
注意点
・マシュマロを入れると甘くなるので砂糖の量を推奨より少し減らしています。甘めが好きな方は砂糖15gで作ってもいいかもしれません。
・水分を加えるので、脂肪分が下がります。(35%→32.5%、40%→37%、45%→42%くらい)低脂肪になるとゼラチンがあるとはいえダレやすく硬さも出にくいので40%以上のものをおすすめします。
ゼラチンとマシュマロでの違いは?
ゼラチンとマシュマロで作ったときの違いとして、ざっくりいうと…
ゼラチン
・結構しっかり固まる(デコレーションで時間がかかるとだんだん扱いづらくなる)
・生クリームの風味そのまま
・方法に少しコツがいる(ダマになりやすい)
マシュマロ
・離水やダレを抑える程度に固まる(ゼラチンより扱いやすい)
・マシュマロの風味が少しついてしまう
・ダマになりにくいので比較的簡単
ゼラチンでもマシュマロでも同じようなことができるのですが、手早く混ぜないとゼラチンのダマが出来たりして少しコツがいる為、私はマシュマロの方をおすすめします。
複雑な形のデコレーションをしっかり固めたい時や、マシュマロの風味がほんの少しでもしてしまうのが嫌な方はゼラチンでチャレンジしてみてくださいね。
実際にマシュマロを入れてホイップしてみた
実際にやってみると味や離水の具合、扱いやすさなどがどういう感じになるのか試してみました。
使用したのは47%の生クリーム。
マシュマロを入れたタイミングはこれくらいです。
跡はつくが泡立て器を持ち上げるとトロトロ落ちるくらい。
作業性について
まずは扱いやすさについて見ていきます。
混ぜ込んだ直後は通常のものとあまり変わりませんでしたが、マシュマロを入れた方はすぐに表面がバサつき出したので絞り袋でデコレーションするときは少し手前で止める方が良さそうです。
また、1時間弱程度ボウルに移して冷やしておいたのですが、こんな感じ。
ヘラですくおうとしたのですが、固まり始めている為か断面がバサついてしまいました。
例えば先にホイップして絞り袋に入れ、ナッペする間に冷蔵庫へ…なんてこともあるかと思いますが、ナッペに時間がかかっていたりすると表面がバサつく可能性がありますので要注意です。
味について
何人かで味見したのですが、200mlに対してマシュマロ10g程度ではほとんどわからない程度でした。(よーく味わうとマシュマロの香料が感じられる程度)
人によって味の感じ方に違いはあるかもしれませんが、この程度の量であれば問題はなさそうでした。
ちなみにマシュマロありの方はしっかり固まってはいますが、食べると普通のクリームと同じように溶けていくので違和感はありませんでした。
離水について
実際にそれぞれバットに絞って1日冷蔵庫に置いておいたものがこちら。
そのうち一つはナイフで切ってみました。
少しわかりにくいのですが、マシュマロなしの方は少し水分が出ており、切った断面もナイフに少しくっつくので形は若干崩れました。
一方、マシュマロありの方は離水はなく形もしっかりとしており、断面もきれいに出ました。(少しバサついているのはマシュマロを入れてから少し泡立てすぎたためです)
マシュマロでも十分に効果があったことが結果からわかりました。
まとめ
ホイップクリームがゆるい、ダレる、離水するという原因は製品特徴(脂肪分や添加物)やホイップするときの条件によって引き起こります。
復活法や予防法はありますがいずれも何かしらのデメリットが生じるので、基本的には商品選びやホイップするときに注意点をおさえておくことをおすすめします。
コメント