以前、チョコレートに水分が入ったらダメだと話していたら、なぜ牛乳や生クリームの水分は固まらずに混ざるの?と聞かれたことがあります。
それはO/W型とW/O型があって…と言っても難しそうなので、できるだけ簡単に水分はだめでも生クリームは大丈夫なのかについてご説明します。
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なぜチョコとクリームは混ざるのか?
それは「乳化をした」からです。
ここで乳化について少し詳しくご説明します。どうしても少しややこしい話になるので、苦手な方は読み飛ばしてもらっても構いません。笑
乳化には大きく分けてO/W(オイル イン ウォーター)型とW/Oウォーター イン オイル)型の2つがあります。
O/W型は水分の中に油分が入っているもので、水分>油分のイメージ。水中油滴型なんて呼ばれ方もしています。
W/O型は油分の中に水分があるもので、油分>水分のイメージです。こちらは油中水滴型なんて呼ばれ方もしています。
O/W型の例:牛乳、生クリーム、マヨネーズ、化粧乳液など
W/O型の例:マーガリン、バター、ファンデーションなど
ここでなぜ、生クリームは水分と乳脂肪分がきれいに混ざっているか考えます。
生クリームに含まれる乳脂肪は膜に覆われています。この膜が天然の界面活性剤(乳化剤)の役割をすることで、水中に油分が分散できるのです。
図にするとこんな感じです。

この膜が脂肪と水分の仲介役になっているおかげで、生クリームは水分と油分がきれいに混ざっている(乳化している)のです。
乳脂肪というのは天然の乳化剤を持っているということですね。
また、この脂肪の膜のおかげでホイップも可能となります。
ホイップの仕組みについては、こちらの記事で詳しく紹介していますのでよかったら参考にしてください。
一方で植物性の脂肪はこの膜がないため、必ず乳化剤というものが入っています。
そのため、添加物が入っていない植物性のクリームがないのはこれが理由です。
天然の乳化剤を持っている例として、他には卵黄のレシチンが有名ですね。
ここからが本題(読み飛ばした方はここから見てください)
水はダメだけどクリームが大丈夫な理由は、クリームに乳化剤の働きをするものが含まれているからです。
動物性は天然の乳化剤、植物性は添加物としての乳化剤が含まれているので、チョコレート油脂とクリームの油脂が乳化剤に取り囲まれることで水分中にきれいに分散するため分離しないのです。
乳化の観点からいうとO/W型のチョコレートに、水分をかなり多く含むW/O型のクリームが加わることで転層という現象(O/W→W/Oに逆転する)が起き、最終的にはW/O型のガナッシュとなるのです。
ガナッシュに低脂肪のクリームを使うことが多い理由
なぜ分離しないかはご理解いただけましたか?チョコレートの乳化についてお話ししたついでに、ここで少しガナッシュについてもお話しします。
ガナッシュのレシピで35%程度の低めの脂肪分を指定しているレシピを多く見かけるのはなぜでしょうか?
レシピの分量にもよりますが高脂肪のものだと分離しやすくなるためです。
先ほどガナッシュは水分の中に脂肪分がきれいに分散した状態(W/O型)だと説明しました。
わかりやすく説明するために、ここで体育館と生徒を思い浮かべてください。

この図を見ていただきたいのですが、体育館が広くて生徒が少なければ、簡単に間隔をとって分散できます。
ただ、体育館が3畳くらいの広さで生徒数がかなりいたらどうでしょう?きれいに間隔…は取れないですよね。※わかりやすくするためにかなり誇張しています。
ここで体育館=水分、生徒=脂肪分に置き換えてみてください。
クリームが高脂肪であればあるほど、水分は少なく脂肪分は多くなります。ここにチョコレートの脂肪分が加わるのでなおさらです。
そのため、低脂肪のほうがうまく乳化しやすいというわけです。
もちろん高脂肪でも乳化しないわけではありませんが、扱いが難しく分離のリスクも上がるので少し注意が必要になります。
そのため、初心者の方などは35%程度のクリームを使うのがおすすめです!
乳化というと難しく感じるかもしれませんが、なんとなくでもイメージで理解してもらえたでしょうか?
乳化に限らず、お菓子作りの過程で、こういうことが起こっているとイメージできると、レシピに書かれた作業の意味も自然に理解ができるようになりますよ!
手順の意味を理解することで、お菓子作りの腕が上がるだけでなくより楽しいものになること間違いなしです!
ぜひ、お菓子作りの工程で「この作業ってなんで必要なんだろう?」と思ったら調べてみてください。
このブログでも雑学的なことを書いているので他の記事もぜひ見てみてくださいね!
まとめ
チョコとクリームが混ざるのは、クリームに含まれる乳化剤があるおかげ。
動物性なら乳脂肪由来の天然乳化剤、植物性なら添加物としての乳化剤によるもの。
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