自由研究の課題としても有名な手作りバター。振るだけで完成しますが、その原理や市販品との違いについて説明できますか?
今回は手作りバターが出来る原理、市販品との違い、作る方法や応用レシピについて書いていきます。
スポンサーリンク
バターが出来る原理
できるだけわかりやすいように順を追って説明します。
液体のクリームは脂肪分と水分がきれいに分散(乳化)している状態です。
バターはこの分散している脂肪分が集まってできるものです。
容器に入れて振ることでクリーム→ホイップクリーム→バターと変化していきます。
まず、クリームを振ると脂肪の球を覆っている膜が傷つき、脂肪の球同士がくっつきやすくなります。
くっつき合った脂肪の球がどんどんつながっていき、水分と空気を抱き込んでホイップクリームとなります。
(ただし容器で振る場合は泡だて器と違って空気の入る量が少なく、イメージしているようなふわっとした食感ではありません)
クリームがホイップ出来る原理についてはこちらの記事で詳しく説明しています。
さらに衝撃を加えると、つながった脂肪の球がさらに隣とくっつき合い…を繰り返しているうちに抱き込まれていた空気や水分が外に出てきます。
これが水分が出てきた状態ですね。
仕上げに練ることで、出きっていない水分や空気を追い出してさらに脂肪の球をくっつき合わせます。
こうして手作りバターとなるのです。
市販品との違い
一番の違いは含まれている水分の量です。
バターと商品化できる基準として成分は乳脂肪分80.0%以上、水分17.0%以下でなければいけないという決まりがあります。
手作りバターの場合、どれだけ練る作業を頑張るかにもよりますが、市販品と同じレベルにもっていくのは難しいと思います。
手作りバターは早めに食べた方がいいというのもこの水分量が多いことに由来しています。詳しくは次の項目でお話します。
バターが作られる一般的な工程
以下に簡単な工程を書いてみました。
①まず生乳から遠心分離(遠心力で脂肪分を濃縮)でクリームを作ります。
②できたクリームを殺菌、冷却します。ホモジナイズ(脂肪の大きさをそろえる作業)も大体ここで行われます。
③殺菌したてのクリームは繊細で、液体の状態です。冷却すると一部は安定しますが、完全ではない為、エージングといってしばらく休ませます。
ちなみに、発酵バターにする場合は、殺菌後のクリームに乳酸菌などを入れて発酵クリームにする工程があります。
④クリーム衝撃を与えることで脂肪球を壊し、脂肪分を凝集させます。
この工程がペットボトルを振る工程に当たります
⑤バターの粒とバターミルクを分離した後は冷水で水洗いされます。
バターを水洗いというのは意外だったかもしれませんが、これにより残ったバターミルクを出し、冷やすことで硬さの調節も行います。
⑥ワーキングとは練り上げの工程です。有塩バターの場合はここで塩が加えられます。
手作りバターの場合は固まった脂肪分を取り出してヘラや割りばしで練る作業に当たります。
これによりさらに余分な水分を排出する他、水分と脂肪分が均一に分散(乳化)させることで安定性や保存性を高めます。
市販品ではこの練り上げの部分で減圧(圧力が低い状態)や速度の調整を行いバターとして最適になるように微調整も行われることから、空気や水分の含有量が少なく保存性が高いのです。
(あと、機材を含めて衛生的な環境で作られているという理由も大きいです)
ペットボトル以外の方法
ペットボトルだと温度による失敗リスクがあったり、振るのが大変だったり…
沢山作りたいときには、あまり手軽な方法ではないかもしれません。
そんな時には電動ホイッパーやフードプロセッサーで行うのがおすすめ!
方法としては、通常通りホイップを行い、ホイップクリーム状になってもさらに攪拌を続けます。そうするとだんだんボソボソになり水分が出始めます。
※この時かなり飛び散るので要注意!!
バターが固まり始めたら、ヘラでひとまとめにし、水分を別容器に移します。
その後、ヘラで練りながら出てきた水分はその都度容器に移し替えます。
数回この作業を繰り返しほとんど水分が出なくなってきたら完成です。
私がたまに作るときにやっている方法もご紹介。
途中まではホイッパーで行っていますが、飛び散るのが嫌なので、少し分離し始めた段階でプロテインシェーカーに移し替えて振ることで時短かつ掃除も楽な方法で行っています。笑
プロテインシェーカーでなくてもふたが出来て500ml程度の口が大きい容器であればなんでもいいと思います。
このように振る方法とホイッパーを用いたハイブリット方式もおすすめです。
まとめ
原理としては市販品も手作りもほぼ一緒だが、水分の量や環境の衛生度合が違うため保存性も異なる。
手作りの方法として、ペットボトル以外にもホイッパーを用いる方法もある。
コメント