バターと卵が分離した!分離は戻る?原因と対策について

クッキーやバターケーキなどに卵を加えた際に分離してしまった経験はありませんか?分離したまま工程を進めると出来上がりに影響があるかもしれません。

今回はその原因や対策、分離は戻せるのかについても紹介していきます。

油脂と卵が混ざる原理

そもそも、なぜ油脂と水分の多い卵が混ざるのでしょうか?

これは卵黄に含まれているレシチンやたんぱく質の一部が乳化剤として働くためです。
乳化剤についてはこちらのチョコレートに関する記事でも解説していますので参考にしてみてください。

油分の多いものに卵を混ぜる際、初めは必ず分離した状態から始まります。その後十分攪拌することで水分が油分中に分散し乳化となります。

分離する原因は?

①混ぜる量が多かった

基本的に油分と水分を合わせるときは少量ずつ混ぜることが多いです。というのも乳化というのは一定の空間の中で均一に点在する状況とイメージとして説明しました。(詳しくは上記記事の体育館と生徒の例えをご覧ください。)

こちらもその例えで説明すると、油分が多いものを体育館(四角形)、水分を含んだものを生徒(青い〇)とします。整列した=乳化したと考えて下さい。

逆に分離は整列がうまくいかずに体育館内に収まっていない状態です。少しだけ生徒が体育館に入ってきた場合は整列も簡単で早く済みます。

徐々に卵を加えるイメージ

そこに徐々に少しずつの生徒が入ってくることで、すでに列が出来ていることもありスムーズに整列が進んでいきます。これが少量ずつ入れるイメージです。

一方で大量に加えた場合や一度に加えた場合はどうでしょうか?体育館の中に大量の生徒が一度に入った場合、少しずつ並んでいくのに比べてうまく整列できないのがイメージできますでしょうか?

時間がかかるばかりか、乳化できず分離したままという事も起きてしまうのはこのためです。

また、バターの量に対して卵が多いレシピの場合、分離しやすくなる原因になります。収容できる人数ギリギリで生徒が入ってきた状態をイメージしてもらえればと思います。

こういう場合はより細かく回数を分けて少量ずつ加えるなど注意が必要になります。

卵はサイズによって卵白の量が変化します。(卵黄の重さはほぼ変わらないといわれています)

そのため、サイズ指定があるにもかかわらず、違うサイズで代用すると、水分量のコントロールが繊細なお菓子だと失敗につながってしまう事もある為、注意しましょう。

やはり何事もレシピ通りが大切です。
※一般的にサイズ指定がない卵の場合Mサイズとされていることが多いです。

②卵の温度が低かった

お菓子作りにおいて、2つの物を混ぜ合わせる際に状態をできるだけ近い状態で合わせると失敗が少ないものがほとんどです。
例えばチョコレートの場合もあわせるクリームと温度が違うと分離しやすくなります。詳しくはこちらの記事を参照してください。

もし冷蔵庫から出したての冷えた卵を使うとせっかく柔らかくしたバターが固まってしまいうまく水分を取り込めず、分離状態へ陥ってしまいます。
必ず使う前に常温に戻してから混ぜ合わせることをおすすめします。

③混ぜ足りない

多くの場合、①、②の理由で分離してしまう事が多いのですが、混ぜ足りない場合でもうまく乳化が進みません。

もともとは油と水で混ざり合わない物なので、乳化剤の作用があるとはいえ均一になるには少し時間がかかります。少量加えては滑らかになるまで混ぜるという工程をを繰り返し、徐々に生地の水分量を多くしていきましょう。

分離した状態から戻すには?

原因によって戻し方が異なります。

まず①で加える量が多く分散しきれない場合。この場合は次の工程で加える小麦粉を少量混ぜることで、浮き出た水分を小麦粉が吸収し、乳化しやすくなります。

ただ、加える量を最小限にしないと仕上がりに影響が出るので少しずつ試してくださいね。詳しくはこの後ご説明します。

続いて②の場合は冷えすぎていることが原因ですので、まだ卵を入れ切っていない場合は卵を湯せんで少し温めましょう。

入れ切っていた場合は分離した生地の入ったボウルをぬるま湯で湯せんしながら攪拌しましょう(本来卵を加える度に乳化させる必要があるので、分離した状態で卵を追加してはいけません。)。

この時熱すぎるお湯で湯せんしたり、長時間湯せんしすぎるとバターが溶けてしまうため注意が必要です。

注意点として、いずれも分離しかけてきた際に対処するのがポイントです。分離が進んでしまうと元の状態に戻すのは難しくなります。

分離したまま工程を進めるとどうなる?

分離したまま作ってみたけど普通に焼けるのでしょうか?分離した状態からそのまま分量通りの小麦粉を入れて…。と無視して進んだことはありますか?(私はあります笑)

なんだか分離もなくなっていい感じ!でも焼き上がりを食べると膨らみが弱く硬い食感…という経験をしたのは私だけではないはず。笑
クッキー生地の場合だとサクッと感がなく硬い仕上がりとなります。

確かに見た目は何事もなかったかのように見えるかもしれませんが、この時に小麦粉が大量の水分を吸収してしまいます。水分を多く含んだ状態で混ぜることでグルテンが多く形成されてしまいます。

グルテンが多くできることで膨らみが悪く、弾力があって硬い仕上がりになってしまうのです。
一方できちんと乳化した状態に小麦粉を加えると、油脂中に水分が分散している為、小麦粉が多くの水分を含みません。

これによってふわっと膨らみのいい仕上がりになるのです。クッキーだとサクッとした仕上がりになります。先ほど復活法で小麦粉を入れるときは最小限でと言ったのはこのためです。

最終的な生地の見た目は同じでも、こういった仕上がりの部分で違いが出てくるので、レシピの工程を守るのは大切ですね。

まとめ

分離する原因は、一度に多くの卵を加えたことや卵が冷たかったことで起こりやすい。

分離を無視して作ると出来上がりが硬く膨らみが弱かったりサクサク感が失われたりする。

復活させる方法は、少量の小麦粉を入れるかぬるま湯で湯せんしながら攪拌する。

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