原材料表示にある乳製品って何?なぜ内容や内訳が書いてないの?

スーパーやコンビニなどでデザートを買ったときや、ヨーグルトを買った時、原材料に乳製品の記載を見たことはありませんか?

「乳製品」以外にも、「乳」や「乳等を主要原料とする食品」と書かれている場合もありますね。

私は初めて見たとき、何このざっくりとした原材料…って思いました。笑

乳製品って色々あるし、何か隠すためにこういう記載の仕方をしているんじゃないの?って思う方もいるかもしれませんね。

今回はこの乳製品とは何なのか、なぜ内訳を書いていないのかについて、メーカーの方から実際に聞いた話も踏まえて書いていきます。

乳製品って何が入ってる?

まず、乳を含んでいる食品の大きな枠で「乳」、「乳製品」、「乳又は乳製品を主要原材料とする食品」という3つに分けられます。

これらの食品は食品衛生法に基づく厚生労働省令である「乳及び乳製品の成分規格等に関する省令」、通称「乳等省令」というものに基づいて製造されています。

この省令において「乳製品」とは、クリーム、バター、バターオイル、チーズ、濃縮ホエイ、 アイスクリーム類、濃縮乳、脱脂濃縮乳、無糖練乳、無糖脱脂練乳、加糖練乳、加糖脱脂練乳、全粉乳、脱脂粉乳、クリームパウダー、ホエイパウダー、たんぱく質濃縮ホエイパウダー、バターミルクパウダー、加糖粉乳、調製粉乳、調製液状乳、発酵乳、乳酸菌飲料(無脂乳固形分 三・〇%以上を含むものに限る。)及び乳飲料をいう。

乳及び乳製品の成分規格等に関する省令より

つまり、原材料に書かれている乳製品の内訳としては上記のいずれかということになります。

乳製品の内訳を書かなくてもいいの?

原材料ってすべて書いてあるイメージですが、省略されてもいいの?って思う方もいるかもしれませんね。

これについて、厚生労働省より出ている「乳を原材料とする加工食品に係る表示の基準」を見ると以下のように書かれています。

乳を原材料とする加工食品であって、2種類以上の乳又 は乳製品を原材料とするものに係る乳又は乳製品の種類別の記載は、そのいずれかの乳又は乳製品の種類別の記載をもって、これに代えることができる。

乳を原材料とする加工食品に係る表示の基準より

乳を原材料とする加工食品であって、乳、乳製品又は乳 若しくは乳製品を原材料とする食品のうち二以上のものを原材料とするものに係る乳を原材料として含む旨の表示は、そのいずれかを原材料として含む旨の記載をもって、これに代えることができる。

乳を原材料とする加工食品に係る表示の基準より

少し難しいですが、上記で紹介した「乳等省令」で定められた乳製品の区分に入る原材料を使用した場合、「乳製品」でくくって表示してもいいですよということです。

例えば、クリームだけであっても、バターなど2種類以上でも、上記の25品目に該当している原料であれば、「乳製品」だけで表示してもいいのです。

こういった表示の決まりは、含まれているアレルゲンがわかるようにするためで、買った人に乳成分が含まれていますよということを認識してもらう目的が第一です。

何が含まれているかすべて書いて消費者を安心させなさいという目的よりも、特定原材料(卵、小麦、えび、かに、そば、落花生、乳)が含まれているかどうかを消費者にわかりやすくしなさいということですね。

なぜ内訳を書かないのか?

先ほどの決まりにあったように、アレルゲンさえわかれば「省略してもいい」とのことですが、なぜ内訳を書いていない商品と書いている商品があるでしょうか?

消費者としてはすべて書いてあった方が親切だと思う方が多いと思います。

そこで、この表示方法について、知り合いのメーカーさんに聞いたことがあります。これには理由がいくつかあるようです。

①配合を秘密にしたい

乳製品と書けば何を具体的に使用しているのかをライバルに知られることがありません。どの乳製品をどういう組み合わせで使用しているかを知られることがなくなります。

特にシンプルなデザートなどでは原材料から再現されやすくなってしまいますしね。

②配合を臨機応変に変えられる

例えば、災害などで急遽原料が高騰または手に入らなくなったときに、一時的な代用で原材料を変更したりすると、個別で表示していたものはすべて表示を変える必要が出てきてしまいます。(例:脱脂濃縮乳→脱脂粉乳など)

また、繊細な商品だと、いくつかレシピがあり、味を一定にするためにその日のコンディションによって使う材料を変更する場合も。

特に容器にすでに印刷されているものなどは変更する際に大きなコストや変更までの時間がかかってしまいます。

このように表示の順番が変わらない(使用量が多い順に表示しなければいけない)ような原料の急な変更に対応するために「乳製品」でくくっている場合もあるとのこと。

③表示を短くするため

例えばクリーム、バター、脱脂粉乳、クリームパウダー…とたくさんの原料を使っているが、容器が小さくすべて記載すると他に記載すべき内容のスペースがなくなってしまう場合に、「乳製品」で短縮している場合もあります。

私個人的には、「乳製品」ではなくすべて書いて欲しいなと思っている(おいしかったお菓子を再現しやすいですし笑)のですが、いろいろな理由があったようです。

メーカーによっては、他に理由があって「乳製品」と記載しているところもあるかもしれませんが、ほぼこの辺りの理由かと思います。

まとめ

乳等省令で決まっている材料であれば、1つでも1つ以上でも「乳製品」でまとめて書くことができる。

(「乳」や「乳又は乳製品を主要原材料とする食品」も同様)

内訳を書かない理由として考えられるのは、「配合を秘密にしたい」、「配合を臨機応変に変えたい」、「表示を短くしたい」などが考えられる。

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