【2022年】食品の値上げはなぜ起こる?その理由と状況について

今年に入ってから原油価格だけでなく、加工食品や油脂製品の値上げが続いています。お菓子を作る私としても非常に痛手なのですが、今回の値上げはなぜ起こっているのでしょうか?

少し調べてみると、これは仕方ないのかな…という事がわかったので、できるだけ簡単に書いていきたいと思います。

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値上げの要因

原油価格の高騰
直近の原油価格高騰に加えて、ロシア・ウクライナ情勢により、原油価格は上昇傾向にあります。こういった原油価格の高騰は間接的に包装材、物流費、保管費、人件費の上昇にもつながります。

ガソリンが上がれば運送費が上がるのはイメージしやすいですが、保管する場所の空調代や包装に使っているプラスチック包装の製造コストも上がります。

スーパーなどでもできるだけ価格を抑える為に簡易包装の生鮮食品が出てはいますが、加工食品はそうもいきませんので、最終的に値上げとなってしまうのです。

もちろんメーカーさんそれぞれで値上げにならないようコストを抑える努力はされているかと思いますが、この後見る原料の高騰を見ると抑えきるのは難しそうとわかるかと思います。

原料価格の高騰

主に原料価格が上がっているのは植物油脂製品です。マーガリンや植物性のクリームなどもこれにあたります。

植物油脂としては主に大豆油、菜種油、パーム油が使用されています。

順に価格の変動についても見ていきましょう。

大豆の価格について

大豆の価格推移グラフ
World Bank – Commodity Markets のデータより

大豆価格は2000年頃までは1トンあたり200~300ドル程度で推移していましたが、それ以降はずっと上昇傾向にあります。

最近は海外でも健康志向が高まり、大豆製品の需要が伸びています。その一方で、ここ最近は天候不順などの影響で生産量は減少。その結果ここ数年は連続で値上がりしています。

国内で消費している食用大豆のおよそ80%は輸入品となっており、こうした世界的な価格高騰は国内の大豆価格にも大きく影響してしまうのです。

こういった需要の高まり、天候不順、バイオ燃料としての需要(後でまた詳しく説明します)が重なった結果、製品の値上がりへとつながってしまったのです。

菜種の価格について

菜種の価格推移グラフ
World Bank – Commodity Markets のデータより

菜種についても2021年を境に価格が跳ね上がっています。これは夏場の猛暑の影響で生産量第1位のカナダで生産量が約35%減り、在庫や流通量が大幅に低下したことによります。

また、同様に暑さの影響で、取れる油脂量が少なくなった(育ちがあまり良くない為に油分が少ない)ことも原因の一つです。

こういった生産量の低下に加え、大豆でもお話したように、こちらもバイオ燃料としての需要増大の影響を受けたことが値上げの原因です。

菜種油はマヨネーズやドレッシングなど幅広い加工食品で使われており、菜種油の価格高騰は身近な食品の価格に大きく影響してきます。

パームの価格について

World Bank – Commodity Markets のデータより

パーム油に関しても2021年から急激に跳ね上がっています。   

これは主要な生産地である東南アジアの天候不順やコロナ禍による労働者の減少で生産量が下がり、最近は急に経済活動が再開されるなどで需要が高まったことによるものです。

また、価格が急騰する大豆油や菜種油などの代替品としてパーム油の需要が世界で急増したことが要因のひとつです。

加えて、インドネシアがパーム油の輸出制限(インドネシア内の食用油価格上昇を防ぐための施策)をかけたことで価格上昇に拍車がかかっています。

次の項目で説明しますが、パーム油も他の油脂と同じく、バイオ燃料としての注目が高まっていることから食用としての量が減っていることも価格上昇の一因です。

バイオ燃料としての需要

バイオ燃料というのは植物を使用した燃料の事です。使用作物の例としてはサトウキビ、トウモロコシ、小麦の他、上記で紹介した大豆、菜種、パームが主なものです。

次世代エネルギーとして広く注目されていますが、この燃料を作るにはかなり大量の植物が必要となります。食用としての作物が減るだけでなく、バイオ燃料に使う作物へ生産を切り替えた場合、バイオ燃料として使用されていない作物の生産量も少なくなってしまいます。

現在は食用作物以外から生産できないかなどの研究がおこなわれているようですが、少なからず、上記の作物需要が増加することによる価格上昇は起こってしまいます。

もちろんここで紹介した以外の理由もあるかもしれませんが、ここ最近で起こった食料品値上げの要因として主なものは上記の項目があげられます。

天候不順や世界的な需要増加となると仕方ない感が否めませんよね…。

状況を見た限り、しばらくは高騰が続きそうですが、なんとか回復してくれることを祈ります!

まとめ

最近の価格上昇は原油価格の高騰による間接的なコスト(包材、物流、保管)の上昇と、天候不順や需要増大による原料コストの上昇のダブルパンチで起こったもの。

参考

World Bank – Commodity Markets(22.4.4時点)
https://www.worldbank.org/en/research/commodity-markets

厚生労働省:原油価格や穀物・大豆価格の高騰とその影響(22.4.4時点)
https://www.maff.go.jp/j/wpaper/w_maff/h19_h/trend/1/t1_t_02.html

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