普通のシュークリームよりも少しリッチなクッキーシュー。
クッキーを乗せて焼くためより膨らみにくいのでは?と思う方もいるかもしれませんね。
実はクッキーシューも普通のシュークリームも注意点については基本的に共通する部分がほとんどです。
だらだらと書くと長くなってしまうので、ポイントを絞って工程順に書いていきたいと思います。
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クッキーシューを作る際の注意点とポイント
①小麦粉を加える工程
バターと水が完全に沸騰した状態で小麦粉を入れる
小麦粉が水分を含んだ状態である一定温度を超えると、糊化といって、糊のように粘りを持った状態になります。
この粘りがシュー生地を膨らませる元になります。
小麦粉を加えると温度が下がりますが、その後一気に糊化が進む温度(80℃付近)まで上げる必要があります。
もしも沸騰していない状況からさらに小麦粉を入れて温度が下がると…せっかく沸騰していたのに温度が一気に下がってしまいます。
その後ゆっくり温度を上げてしまうと、その分糊化に時間がかかり、生地中の水分量が減り、膨らみが悪くなる。
もしくは温度が上がりきらずに糊化が不十分で膨らみが悪くなるといったことが起きやすくなります。
生地中の水分量に気を付ける
上の項目と少しかぶりますが、シュークリームが膨らむのは生地中の水蒸気が生地を押し上げることで膨らみます。
もし、糊化に時間がかかり、長い間練りすぎると生地中の水分が失われ膨らみが悪くなる原因となります。
逆に練りが足りず均一に温度が上がっていない、もしくは不足することで水分量が多すぎた場合は糊化が十分でなかったり、水分が多かったりしてダレる生地になることがあります。
見極めとしてなべ底に膜がはる程度とよく言われますが、温度計を持っている方は中心温度80℃付近になっているかを確認する方法もいいかと思います。
効率よく練る方法としては、なべ底に広げてはまとめてを繰り返す方法が一番効率よく練ることができるのでお勧めです。
②生地に卵を加える工程
最初に卵で生地の温度を少し下げる
基本的に油分と水分を合わせるときは少量ずつ混ぜることが多いです。
いうのも乳化というのは一定の油分空間の中で均一に水分が点在する状況(その逆パターンもあります)とイメージです。乳化について詳しくは下記記事をご覧ください。
ただし、シュー生地の場合は少し違います。
基本的には少量ずつと説明しましたが、レシピだと大体1/3~半量ほど加えるというような記述が多いのではないでしょうか。
これは、まずは半量ほど入れて生地の温度を少し下げる必要があるためです。
熱された生地に少量ずつ卵を入れてしまうと熱で卵が固まってしまいうまく混ざり合わなかったり、ダマが出来たりする原因となります。
少し混ざり合うまで時間がかかりますが、切り混ぜるようにすると表面積が増え、卵と生地が乳化しやすくなります。
ただ、ここで注意点!
冷蔵庫から出したての冷たい卵を使ってしまうと、生地の温度が急激に下がり、生地に含まれているデンプンが粘度を増し、硬い生地に仕上がってしまいます。
固い生地になることで膨らみが悪く、ぺちゃんこのシュークリームになってしまいます。
必ず卵は常温に戻したものを使うようにしてください。
卵を入れる量
一般的によく言われるのはへラですくった時に、ゆっくり(3秒くらいで)ボトリと落ち、ヘラに残った生地が逆三角形で少し透けるような状態が目安です。
固すぎると膨らみが悪く、緩すぎても横に広がってしまうので高さが出ません。
③クッキー生地を作る工程
クッキー生地の配合
一般的にクッキーシューに乗せるクッキーはバターの配合が多く大体バターと小麦粉が1:1程度の物が多いです。これにより熱で溶けやすく、まんべんなく生地を覆う事が出来ます。
厚さを薄く(3㎜程)すると早く溶け出しきれいに覆う事が出来ます。クッキー生地の直径はシュー生地を絞り出した直径と揃えるようにしてください。
ただ、最後に書きますがバターの比率がここまで高くない物でもシューは膨らみました。
④焼く前の工程
生地の温度を保つ
焼きたてのパンが冷えて固くなるのと同様に、シュー生地も冷えてしまうとどんどん固くなってしまいます。
これは①の工程で糊化させたデンプンが冷えることで固くなろうとする(老化)ことによるものです。
こうなってしまうと焼いた時にうまく生地が膨らまずぺちゃんこのシュークリームになってしまいます。
もし、シュークリームを大量に作る場合、オーブンに入りきらない量の生地を作ってそのまま置いておくと生地が冷めてしまい、2回目以降は膨らみが悪くなる可能性があります。
できるだけ1回分ずつに分けて生地を作るようにしましょう。
生地に水分を与える
焼く前に霧吹きで水をかける工程があるかと思います。
これは焼きはじめた時に表面から火が入り始めます。
完全に火が入ると固まるのでそれ以上膨らまなくなります。
表面に水分を与えることで、火の入りを遅くし、膨らむ時間を長くとることが出来ます。
クッキー生地を置くときは、シュー生地に霧吹きで水分を与えた後に乗せるようにしましょう。
⑤焼く工程
完全に生地が焼き固まるまで待つ
徐々に膨らんだシュー生地ですが、見た目は焼けていても溝の部分は火が入りにくく、固まりきっていない可能性があります。
この状態でオーブンを開けると一気にしぼんでしまう事もあります。必ず焼き固まるまでオーブンは空けないようにしてください。
シュークリームが膨らむメカニズム(あくまでイメージ)
少し図もつけてみました。
①まず、オーブンの熱によって外側が少しずつ焼け始めます。(乾燥に近い)
☆霧吹きをすることでこの工程を遅らせ、膨らんだ際に生地の伸びを良くします。もし早く固まってしまったらそれ以上伸びなくなるため膨らみは悪くなります。
②オーブンに入れてしばらくすると、熱くなった天板から熱が伝わり生地の底部分から水蒸気が発生し始めます。(グツグツ沸騰するイメージ)
水蒸気は外に出ようとしますが、①で外壁が出来ている為逃げ場を失った水蒸気は膨れ上がり生地を押し上げます。
☆生地の温度が下がると皮が硬く伸びが悪いため膨らみが悪くなります。
☆生地を練る際に水分量が少ないと水蒸気が少なく膨らみが悪くなります。
③さらに空洞は広がっていき、広がりきれなくなった外壁には亀裂が入ります。(これがシュークリームのシワの部分)
この亀裂を起点としてさらに膨らみます。
☆この亀裂部分が半焼けだとオーブンを開けた時などにしぼむ原因になります。
④最終的に外側が完全に焼き固まることで中が空洞になったものが出来上がります。
ちなみにお店などでは最初は上火を弱くし乾燥を遅らせて、下火を強くして水蒸気を多く出すことで膨らみを良くしたりします。
業務用のオーブンの場合上火と下火でそれぞれ調節可能なものがあるのですが、家庭用だとそういった調整が出来ないものがほとんどだと思います。
もしかすると裏技で予熱の時から下段や底面に使わない天板を置いておくと良いという事を聞いたことがあるかもしれませんが、予め鉄板を熱したものを下に置くことで下からの熱量を増やすという狙いがある為です。
試しに普通のクッキー生地を乗せて焼いてみた
クッキーシューというと表面が均一になったこういうものを思い浮かべますよね?
これはバターの配合が多くクッキーが熱で流れやすくなり、シュー生地をきれいに覆うからできる模様です。
ただ一度やってみたかったのが普通のクッキー生地(バターの配合率が少し低め)で焼いてみるというもの。
固めの生地で流動性が少なければシュー生地は膨らまないのか気になっていました。どうせならと思い結構厚め(1cmほどの厚さ)に乗せてみました笑
その結果がこちら!
予想だとあまり膨らまないと思っていましたが、普通に膨らみました。ただ、何ともいかつい表面になりました笑
食感も表面はクッキーのサクサクした食感が味わえて個人的にこっちの方が好きかも…という意外な結果に。
こういう見た目で売りにするのもありかなと思います。
要は乗せるクッキー生地の種類や厚みがある程度間違っていても、シュー生地の作り方さえうまくできていれば失敗しないという事がわかりました。
その為、クッキーシューが失敗したという方は、シュー生地の部分で失敗していたという可能性が高いです。
これらのポイントに気を付ければどのレシピでもきっとうまくいくはずですよ!
少し難しそうなイメージがあるシュークリームですがぜひ挑戦してみてくださいね!
まとめ
クッキーシューも普通のシュークリームも注意点は同じ。
クッキーシューが膨らまないという事はシュー生地作りの過程で問題があった可能性がある。
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